交通事故による後遺障害で申請できる障害者手帳のメリット

交通事故による怪我の治療が完治しなかった場合、後遺障害の認定を受けることがあります。その場合、交通事故の加害者に賠償金を請求することができますが、それ以外に自治体から受けられる福祉サービスの存在も無視できません。

身体障害者手帳の交付を受ければ、各種割引サービスや福祉支援を利用可能です。ここでは、身体障害者手帳を持つメリットや申請の仕方などについて紹介します。

受給者証とは別に交付される障害者手帳

交通事故で日常生活や社会生活に支障をきたす後遺障害が残った場合、お住まいの市区町村に申請して身体障害者手帳をもらうことができます。後遺障害の賠償金を受け取るのとは別に利用できる福祉サービスですから、申請しない手はありません。

障害者手帳を持っていると、自宅をリフォームするのに使える住宅設備改善費や車椅子・杖などの給付を受けることができます。所得税や住民税の控除、鉄道・バスなど公共交通機関の割引なども便利です。障害者手帳で受けられる福祉サービスは、後遺障害の等級によっても違ってきます。

ただし、自治体で認定される障害程度(支援)区分は後遺障害の等級とは別物です。認定されると福祉サービスの受給者証が交付され、受給者証とは別に障害者手帳が交付されます。在宅訪問を受けられるホームヘルプなどの介護給付、自立訓練に関する給付なども、障害者手帳を持っていると受けることができます。

自治体によっても制度の詳細が異なるため、各市区町村の福祉担当課に問い合わせの確認が必要です。

後遺障害と身体障害の違い

交通事故による後遺障害でも障害者手帳は交付されますが、基本的に後遺障害と身体障害は区別されている部分があります。後遺障害は、交通事故で負った怪我の治療をしても完治せず、後遺症が残ってしまった状態です。自治体で身体障害者手帳の申請をする前に、自賠責保険会社や損害保険料率算出機構に後遺障害等級の申請をおこなって認定を受ける必要があります。

後遺障害と認定されると加害者に賠償金を請求することができ、さらに自治体に申請することで障害者手帳の交付を受けられるのです。

障害者手帳を交付されているのは、交通事故による後遺障害が残った人だけではありません。

身体障害を対象とした身体障害者手帳の他、知的障害がある人を対象とした療育手帳、精神障害がある人を対象とした精神障害者保健福祉手帳の3種類があります。いずれの場合も医療費の助成や税金の控除など各種サービスや支援を受けることができますが、手帳の種類は異なる点を認識しておきましょう。

身体障害者手帳交付の条件

身体障害者手帳の交付を受けるには、条件を2つクリアしなければなりません。1つは、身体障害者福祉法で定められた障害がずっと残ってしまうことです。対象とされている障害にはまず、視覚障害や聴覚障害があります。

四肢体幹に異常がないのに、起立や歩行に問題が出てしまう平衡機能障害も対象です。声を全く出せない、あるいは声を出せても言語機能が失われている音声・言語・そしゃく機能障害も対象とされています。肢体不自由のように目に見える障害もあれば、心臓機能障害やじん臓機能障害のように人目にはつきにくい障害も身体障害者手帳交付対象です。

免疫機能障害やぼうこう直腸機能障害なども対象の障害ですが、小腸機能障害や肝臓機能障害などと共によく検査して障害を見落とさないようにしたほうがよいでしょう。他に身体障害者手帳交付対象の障害に、呼吸器機能障害があります。

2つめの条件は、身体障害者障害程度等級で一定以上の等級に認定されることです。身体障害者障害程度等級は、1級から7級まで設定されています。条件をクリアするには、6級以上に認定されなければなりません。ただし、7級の障害が2つ以上あれば6級認定を受けることができます。

この等級は障害の程度によって判断されますが、後遺障害等級認定とは別なので注意してください。

申請に必要なものと申し込み手続き

身体障害者手帳の申請には、必要な書類などがあります。交付申請書は自治体の役所でもらえますが、他は自分で用意しなければなりません。まずは、医師に作成してもらう身体障害者診断書と意見書です。個人番号カードあるいは通知カード、身分証明書、申請をする交通事故被害者の写真、印鑑も提出します。

1つでも欠けると申請ができないため、申請の手間を最低限にするためにもあらかじめ準備を整えておくことをおすすめします。申請の手続きをするのは、お住まいの市区町村役所の福祉事務所窓口です。必要書類と印鑑を窓口に提出すればよいだけですが、医師に身体障害者診断書と意見書を作成してもらう際には時間がかかる可能性があります。

医師から問診や検査を受ける必要もあるため、後遺障害が残った場合は身体障害者手帳を申請するための診断書と意見書の準備も早めに依頼しておいたほうがよいでしょう。手帳の申請から交付までは、約1ヶ月間かかります。

身体障害者手帳を持つメリット

身体障害者手帳を持っていると、様々なメリットがあります。例えば、各種手当や年金の受給は経済的な面で助けになるでしょう。後遺障害が残ると、交通事故に遭う前と同じように働いて十分な収入を得られない可能性があります。

加害者に請求できる賠償金も、生涯に渡って十分に生活できる金額とは限りません。その点、障害者年金の受給は生活費のプラスになります。他の各種割引などと合わせれば、日常生活に大きな支障がおよばないようにすることも可能です。

各種割引制度には、ガス・電気・水道など公共料金の減額や免除、公共交通機関の割引、税金の免除、医療費の助成などがあげられます。介護サービスを割安に利用できたり、補装具や日常生活用具が支給あるいは貸与されるのもメリットの一つです。

身体に障害を負うと、住居を得るにも苦労することがあります。そんなときでも役立つのが、身体障害者手帳を活用した公営住宅への優先的入居です。受けられる支援サービスは、地域や年齢、収入、障害の程度などによっても異なります。

それでも、持っていないよりは持っていたほうが格段に生活しやすくなるはずです。

交付を受けるには申請が必要

身体障害者手帳の交付を受けるには、自ら申請しなければなりません。交通事故によって後遺障害が残ってしまっても、自動的に身体障害者手帳が交付されるわけではありません。というのも、後遺障害の等級認定と身体障害者手帳の交付は別の機関がおこなっているからです。

後遺障害等の等級認定は、自賠責保険会社や損害保険料率算出機構に申請することによって判断されます。

こちらも自分で申請が必要になるため、注意しなければなりません。身体障害者手帳を受け取る資格があるにもかかわらず、申請しないばかりに各種福祉サービスや支援を受けられない人もいます。交通事故による後遺障害の等級認定を受けたら、身体障害者手帳の申請もしてみるべきです。